「分散型」という言葉が注目を浴びてから早数年。中央集権化の世界から分散型社会への変遷をまとめました!更に「分散」って何?という人でもその意味が分かる内容になっています!
「P2P」と「ブロックチェーン」とは?
「ブロックチェーン」が世界を変えるという話が随分と前からされていますが、現実はそうなっていない感じです。特に「ブロックチェーンは発明から10年たっても投機と不正送金にしか使われていない」と言われてしまう始末。
そもそも「ブロックチェーン」の前にあった似ているシステムってご存知ですか?!という事でまずは「P2P (Peer to Peer)」についてお話をしておきましょう!「P2P (Peer to Peer)」は「分散」という考え方の始まりになります。
「P2P (Peer to Peer)」って何?
「P2P」は「ピア・ツー・ピア」と読んだりします。
ネットワーク上のコンピューターが他のコンピューターとサーバを介さずに直接通信を行うこと。またはその通信を提供するソフトのこと。


「P2P (Peer to Peer)」の始まり
もともとインターネットの世界は上のイラストのようになっています。ネットを使おうとしたら「サーバー」へアクセスして情報を閲覧する!みたいな感じです。
この状態は現在でも利用されている仕組みです。ここで誰かが気づきました。
はてな
「サーバー」失くしてみたら楽じゃない?いちいちサーバーにアクセスしなきゃ情報を見れないなんて。直接情報がある所につないでくれた方が楽な気がする。


日本生まれのP2P (Peer to Peer)「Winny」
「Winny」は「パソコン」と「他のパソコン」を直接つないでファイルのやり取りをするシステム。サーバーを経由しません。
「Winny」は日本発の「P2P (Peer to Peer)」を使ったシステムです。おお!これでサーバーを使わない新システムが出来たぞ!となったんですが、そう上手くはいきませんでした。
例えば自分のパソコンで「仮想通貨」の情報を検索します。すると「仮想通貨」の情報を持っているパソコンに直接アクセスして情報をダウンロード (P2Pシステム)。
でも実はウイルスファイルだった、みたいなことが多発。中央のサーバーがないから自分のパソコンにウイルスが直接来ちゃうよ‥。

P2P (Peer to Peer)は意外なところで使われるようになった
「Winny」の一件で、日本では「P2P(Peer to Peer)」の仕組みが普及することはありませんでしたが、世界ではこのシステムが普及しはじめます。


ちなみに「LINE」で電話をする人もいるかと思います。「LINE」の電話も「P2P」のシステムを利用しています。
初期の頃は「P2P」なんて犯罪の温床とか言われていましたが、全く予想していなかったサービスで応用されました。
一昔前なんて「アプリで無料で電話できる」なんて想像もしなかったでしょう。おまけに犯罪の温床となっていた「P2P」のシステムが応用されているなんて・・。つまり、新技術は私たちの予想とは違うところで役立つことが多いのです。
スポンサーリンク
「ブロックチェーン」って何?
でわ本題の「ブロックチェーン」ですが、「P2P」の話を踏まえて簡単に説明しておきます。
「P2P (Peer to Peer)」のシステムでは中央のサーバーを失くしてみよう!という発想から生まれた仕組みです。
一方で「ブロックチェーン」はその流れを受けて生まれました。
「ブロックチェーン」ではサーバーではなく管理者(中央管理者)を失くしてもいんじゃないのか?という発想です。そして、ブロックチェーンが最初に応用された仮想通貨では、中央管理者として金融機関がやり玉になります。


普通のお金(円・ドル)の流れは金融機関が記録管理しています。しかし、仮想通貨の場合は「ブロックチェーン」によって、金融機関を介さずに直接ネットワーク上に記録しています。
「P2P」は中央のサーバーがいらないんじゃない?という流れ。
「ブロックチェーン」を用いた仮想通貨は、中央の金融機関がいらなくね?という感じ
ポイント
「ブロックチェーン」は「P2P」の発展形です。「ブロックチェーン」は中央にあるものを除いてみよう!という試みを技術的に可能にしたものになります。もちろん中央にあるものは金融機関以外にも沢山あります。




どちらも中央にあったものを除いたら副作用が起こった。それが「P2P」「ブロックチェーン」の問題点です。このように中央にあるものを除くことを「分散(Decentration)」といいます。
「分散型(Decentralized)」と言った場合、中央の管理者が不在でも自動的に機能するものを言います。アプリだったり、ストレージだったり色々あります。
スポンサーリンク
「ブロックチェーン」で経済は変わるか?
さて本題です!
「ブロックチェーン」で経済は変わるのか?
私は変わると思っています。もちろん来年再来年とかに変わるなんて思っていません。10年位先の話を想定しています。具体的に何が変わるのか?を考えてみたいと思います。
「信用」がいらなくなる経済
人類の経済の営みの中で昔から重要な要素は「信用」です。
例えば物々交換をする時、相手がちゃんとモノを渡してくれるのか?互いに「信用」がなければ成立しないでしょう。
他には、皆さんが飲食店でご飯を食べた時。食事後に会計をしているかと思います。これって普通に考えればかなり危険ですよね?お店からしてみれば、食事を出して食べ終わった後に「お金がない」なんて言われたら、どうしようもないです。
お店はある種の「信用」をお客さんに抱いている事になります。つまり、後払いでもちゃんとお金を払ってくれるだろう。という「信用」です。
「ブロックチェーン」の技術が浸透し始めると「信用」というものの重要性が減る?


ここで重要なのは「信用」を成立させるための機関とかがいらなくなる事です。
中央機関が無くなっても自律する世界
経済が回るには「信用」が不可欠という話は上でしましたが、色々な中央機関が社会に「信用」が維持されるように努めています。
中央機関が「信用」を守るために日々頑張っている、とも言えます。約束を守らないやつ、食い逃げ犯は捕まります。
ポイント
しかし、こうした「信用」を守るための中央機関には多額のコストがかかります。それは消費者も負担しています。あるときは仲介手数料として、ある時は税金として。
21世紀に入ってから、その流れにテクノロジーが疑問を投げかけてきました。
「P2P」も「ブロックチェーン」も同じ疑問を投げかけています。中央機関(サーバー・金融機関等)を失くしても機能する分野があるんじゃないのか?
仮にそんな分野があったとします。その分野では「信用」の重要性が一気に減る事でしょう。中央機関が頑張って「信用」を維持させていたのに、テクノロジーが勝手にやってくれます。信用に対する意識は当然薄れていくでしょう。
スポンサーリンク
「ブロックチェーン」は万能ではない
ここまでくるとSFっぽくなりそうですが、現実はそうはなりません。


現在は本当に初期段階です。色々な分野で「ブロックチェーン」を利用したサービスとかが展開され始めています。そして、そのほとんどが「それってブロックチェーン使う必要なくね?」というものばかりです。
私たちは「ブロックチェーン」をどのように使っていったらいいのかをあまり理解していないのです。
しかし「ブロックチェーン」自体も今後は進化していきますし、私たちも経験値を積むことが出来ます。
そんなある時に、「ブロックチェーン」を使ったら意外と上手く行ったな。みたいな分野が出てきて経済体制を徐々に変えていくでしょう。
そのわずかな一歩が積み重なって「信用」への重要性が減る経済になるんじゃないのか?というのが私の予想です。「P2P」がSkypeやLINEに応用された時のように。
スポンサーリンク
ロイ・アマラの法則とブロックチェーン
「We tend to overestimate the effect of a technology in the short run and underestimate the effect in the long run.」
「我々は短期的に技術を過大評価し長期的に過小評価してしまう」
未来学者のロイ・アマラが提唱した「ロイ・アマラの法則」です。この言葉が引用されて「人間は1年でできる事を過大評価して、5年10年で出来る事を過小評価する」という格言みたいなものもあります。
きっと「ブロックチェーン」にも同じことがいえるかと思います。「ブロックチェーン」は世界を変える!なんて叫ばれているうちは意外と変化が小さいものです。さっきも言いましが、一歩一歩の積み重ねが重要です。その積み重ねは長期的に見れば世界を大きく変えている事でしょう。
経済から「信用」の問題をある程度簡単に処理してくれる日が来ているかもしれません。


最後になりましたが、この話に関連したプレゼンテーションの動画(字幕付き)を載せておきます!TEDという有名なプレゼンテーションのものです。今日は以上!それでは!